歴史と現状
半導体の歴史
半導体は科学の発展における20世紀最大の発見といわれるほど重要なものです。半導体としての物質は昔から知られていましたが、それを応用して実用化するまでには時間がかかりました。半導体素子としての先駆けは、20世紀初頭にジョン・フレミングによって発見された整流子真空管です。半導体技術が大きく飛躍したきっかけは、1947年にベル研究所のメンバーによって発明されたトランジスタです。トランジスタは電子信号の制御を可能にする半導体デバイスであり、整流子真空管よりも小型なため、あらゆる電子機器の小型化や高性能化に貢献しました。
さらに、1960年にはIC(集積回路)が発明されます。多数のトランジスタと他の電子部品を小さなシリコンチップに統合することで、より高性能で高密度な電子回路の実装が可能になりました。その後も飛躍的に半導体技術は進化し、1970年代には1つのチップに数千から数万のトランジスタを収めることができるようになり、それをきっかけに高性能な通信機器やコンピューターが開発されました。1980年代には大規模集積回路が登場し、より高性能な電子機器の開発に貢献しています。
今や半導体はあらゆる分野で活用されています。社会全体がデジタル化かつ自動化したことで、効率性は急激に向上しました。このように、半導体の技術革新は凄まじいスピードで進んでおり、私たちの生活にも深く関わっています。
現状について
現状についてですが、半導体技術はもはや世界の産業の要となっています。スマートフォンや自動車、IoTデバイス、AI、クラウドコンピューティングなどあらゆる分野で使用されています。特に需要が高いのはモバイルデバイスやクラウドサービス、自動車などの分野です。世界市場における半導体出荷額は、2021年に過去最高額を記録しています。
しかし、出荷額が増加している一方で、半導体自体は不足傾向にあります。その要因として挙げられるのが、半導体を必要とするデバイスが急激に増加している点です。加えて、コロナ禍の影響で半導体の製造に必要な部品を供給する工場の閉鎖が続き、世界的に半導体が不足しています。日本企業のみに焦点を絞った場合、世界シェア率は下降傾向にあります。米国市場調査会社のデータによると、2021年における半導体の売り上げについて、世界シェア率のトップはアメリカです。2位が韓国、3位が台湾で、それに続くのが日本です。このように、日本は半導体自体の世界シェア率は低いものの、関連する素材や装置においては高水準を保っています。また、半導体を扱える半導体エンジニアの需要も高まり続けています。